「代金を払ってもらえない。」
「代金を回収したい」
法律相談で、このような相談を受けることは少なくありません。
企業にとって、代金回収・債権回収はもっとも重要な局面の一つです。
企業活動における「クロージング」の重要性は十分に説かれており、営業段階からどのように契約締結まで至るのか、という点については既に多くの経験やノウハウが蓄積されているところです。
しかし、企業活動において最も重要な「クロージング」とは、代金回収(例:工事代金回収、商品代金回収、レンタル代金回収)であるという点も強く意識する必要があります。
私にも非常に辛い経験があります。
「弁護士紹介」にも記載したように、私が建設会社を営んでいた時、初めて飛び込み営業でとった大型公共事業の初めての支払日の朝、わくわくして当日を迎えていた私を襲ったのは破産申立てを通知するFAXでした。私は倒産を覚悟し、一瞬にして奈落の底に突き落とされました。
いくら契約をとっても、いくら一生懸命仕事をしても、代金を回収できなかれば何も意味がありません。意味がないどころか、人件費や材料費などもかかっており、とんでもない大損を被ってしまいます。
そのような意味でも、いかにして工事代金、商品代金などの債権回収を図るのか、ということが企業活動において非常に重要となります。
ところが、債権回収はなかなか難しいものです。心理的負担も少なくありません。催促することも精神的に疲れる。催促しないといけないと頭の中で考えるだけでも疲れる。電話をしても逆に怒鳴られることもある。手紙をだしても音沙汰がない。
また、日々目の前の仕事に一生懸命取り組まなければならず、債権回収に時間と労力を割くことが難しいというのもあります。
そのように八方ふさがりになった状態で相談に来られることが少なくありません。しかし、もっと早く来て頂ければそこまで悩む必要はなかったという場合もありますし、他方で、なかには悩みに悩みすぎて、債権が時効によって消滅している場合もよくあります(債権の種類によってはわずか数年で時効によって消滅してしまうものもあります。)。
代金を回収する手段・方法というのは多種多様のバリエーションがあります。ソフトな手段からハードな手段まであり、現在の状況や、相手とのこれまでの関係、これからの関係、相手の性格・個性、証拠の状況、早期回収の必要性など様々な事情を考慮して最適な手段を考え、順を追って回収を進める必要があります。
裁判を起こすというのも有効な回収手段の一つではありますが、それだけが手段ではありません。相手との関係も踏まえ、また現実的な回収可能性も考慮しながら、適切な手段を講じていく必要があります。
もし、代金回収や債権回収で悩まれている方がいらっしゃいましたら、弁護士に早期に相談されるのも一つの有効な方法であると考えます。
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