2015年12月に『注釈破産法(上)(下)』(きんざい)が刊行されました。
この本の特徴は、倒産法制と実務に精通した裁判官と弁護士が、破産法における解釈上の争点について逐条解説しているところにあります。
これまでも伊藤眞ほか著『条解破産法』(弘文堂)という破産法の注釈書の決定版がありましたが、こちらは学者の先生方が中心となって書かれていました。
それに対して本書は、実務家による解説という点に特徴があり、倒産処理に携わる弁護士が集う「全国倒産処理弁護士ネットワーク」による各地の裁判所での取扱状況を踏まえた実践的で詳細な解説がなされているという特徴があります。
また、これまで「全国倒産処理弁護士ネットワーク」が刊行した書籍とのリファレンスも網羅されており、圧倒的に使いやすい本となっています。
この本は上下巻で約2000頁もある大著ですし、逐条解説のため通読に適した本でもありません。
しかし、私も「全国倒産処理弁護士ネットワーク」に所属し日々企業再生や倒産処理法務に携わる弁護士であり、また、そもそも私が弁護士になることを志したきっかけも、自分がやっていた建設会社が取引先の倒産に巻き込まれて連鎖倒産しかけた経験にあるため、倒産法務については積極的に取り組んでいます。
日々企業再生法務や倒産処理法務を行っているとはいえ、目の前の事件を処理することに追われ、それに必要な範囲で文献や裁判例や実務的運用等を調査することに終始することもあります。
我々弁護士にとって知識とは武器であり防具でもある必要不可欠なものです。日々の業務の範囲での知識で安住していると知識にムラが生じ、危険な落とし穴が生じるリスクが高まります。
とはいえ、目の前の仕事に追われる日々を過ごすことが多く、まとまった勉強の時間をとることはなかなか難しいのが現実です。
そこで年末年始のような時間は弁護士にとって大変貴重な時間となります。
この年末年始は『注釈破産法』の通読にも取り組んでみたいと思っています。
楽しみです。
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