「データは21世紀の石油」
2011年(平成23年)1月に世界経済フォーラムにおいて公表された「パーソナルデータ:新たな資産カテゴリーの出現」において「パーソナルデータは、インターネットにおける新しい石油であり、デジタル世界における新たな通貨である」と言われました。
インターネットの普及、データストレージの低価格化、クラウド技術の発達により大量のデータが発生しています。
そのようなデータを利用・活用することにより、新たな価値を生み出すことが期待されています。
データは石油と異なり、大規模な設備がなくても活用できるためベンチャー・スタートアップ企業でも活用することが可能である点で、だれにでもチャンスがあるとなりました。AI・ビッグデータ・機械学習・ディープラーニング・・・。
あらゆる産業において、新たなデジタル技術を使って、これまでにないビジネス・モデルを展開する新規参入者が登場し、ゲームチェンジが起ころうとしているのです。
デジタルトランスフォーメーション
新しいデジタル技術を活用することにより、企業が既存のビジネスから脱却し、新たな価値を生み出していくという「デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation: DX)」の概念が脚光を浴びています。
経済産業省は2018年、産業界において戦略的なビジネス展開を進めていくために必要となるデジタルトランスフォーメーションを進めるために、課題及び対策を検討するためのデジタルトランスフォーメーションに向けた研究会を設置しました。
もっとも、DXの重要性は認識されても、現実にはなかなか進んでない状況にあることが指摘されています。
経済産業省は、企業がDXを実現していく上でのITシステムに関する現状の課題の整理とその対応策の検討を行い、『DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』として報告書を取りまとめました。
その報告書の中では、企業が課題を克服できない場合、DXが実現できないだけでなく、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性(2025年の崖)があると指摘されています。
データマネジメントとデータ法務の重要性
DXが進まない理由の一つに、データ活用のハードルが高いことが挙げられます。
大量のデータを扱うとさまざまな法的リスクが発生します。
- 個人情報保護法や不正競争防止法、独占禁止法、民法、刑法などの法令違反とならないか。
- 利用規約や契約との関係
- プライバシー権侵害
- データの権利帰属の問題(データの取り扱いに関する契約書の検討)
- データが流出した場合の法的責任
- データの品質に関する責任
- データ利用によって損害が生じた場合の責任・・・など
これらの問題に十分に対抗すること、データマネジメントが重要となっています。
そして、データに関する法務、「データ法務」と私は呼んでいますが、データ法務は企業においても、起業家においても、これからの日本社会においても重要となると確信しています。(なお、2019年7月1日現在、「データ法務」というワードはGoogle検索で1件もヒットしません。)
あらゆる産業において、データの利用・活用によりこれまでにないビジネス・モデルを展開されゲームチェンジが起ころうとしています。
データ法務の重要性は必ず高まるものと考え、データ法務に取り組んでいます。
(弁護士北野隆志)
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