先日、あるアイドルグループのファンクラブ規定や各種素材の利用ガイドライン等の策定作業に携わる機会がありました。

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 このような各種規定やガイドラインについては既にたくさんのひな型が存在するため、ある程度のものは比較的簡単に作成することができます。

 しかし、アイドルグループを発展させていくためにどのような規約・ガイドラインが望ましいのかを考えると、今の時代特有の問題に直面します。

 例えば、アイドルの写真や動画などの素材についてその権利は運営会社が保有するとしても、ファンの方々の利用を一律に制限するのが望ましいかどうか、悩ましい問題が生じます。

 良いものや好きなものを他の人にも紹介したい・広めたいという衝動や欲求は、今は、TwitterやFacebookなどSNS(ソーシャルネットワーク)を用いて不特定多数に発信されます。また、ファンの方々は、ニコニコ動画やYouTubeなどの動画投稿サイトに動画を投稿したり、時には素材を加工したオリジナル動画(あるいはMAD動画)を投稿されることもあります。

 ファンの方々によるソーシャルなコミュニケーションを起点にして、最初は小さかった応援の声にハーモニーが生じ、共鳴し、時には大きなうねりが自然発生的に生じ、当初想像もしていなかった魅力や可能性を生じさせることもあります。しかし、それらの行為が同時に権利者の権利との間に緊張関係を生じるさせることも少なくありません。

 ファンの方々の応援したいという素直な欲求・感情の表現を規約で縛ることが望ましいのか、逆に権利者としてどのようにコントロールして調節を図るべきか、非常に難しい調整が必要となります。しかし、弁護士として非常にやりがいを感じるところでもあります。

 このような業務は単なる法律の知識で解決する問題ではありません。

 アイドルグループの魅力をいかに発信し、届けることができるか、そしてファンの皆さまにも応援するアイドルの魅力を発信し表現する行為をいかに楽しんで頂けるか。アイドル文化、ネット文化についても思いを巡らし、新しいルールの在り方を考える必要があります。

 また、それは企業の経営戦略やプロモーション戦略にも関わる政策的問題も含んでいます。

 今回は幸いなことに、運営会社の方とは法律事項以外についても忌憚なく意見を交換することができ、とても楽しく充実した時間を過ごすことができました。

 

 私の弁護士としての目標の一つは、「弁護士の職務を通じ、新たな価値を創出すること」です。

 その夢を実現するために、私は北野グランデ法律事務所を設立しました。

 個人や企業の皆さまが新たな価値を創出するお手伝いをすることができれば、それは弁護士冥利に尽きる幸せなことです。

 弁護士として社会の多様なニーズに的確に対応し、時代に即した新たな価値を創出するお手伝いができるように、日々研鑽していきたいと思います。