強盗殺人未遂の疑いで逮捕された事件の刑事弁護を、北野グランデ法律事務所の弁護士小柳憲弘と弁護士北野隆志が担当しました。

その後、強盗殺人未遂ではなく強盗致傷罪の疑いで起訴されました。
そして、裁判員裁判の結果、強盗致傷罪は成立しないと判断されました傷害罪の限度で認定)。

〔逮捕〕強盗殺人未遂の疑い → 〔起訴〕強盗致傷の疑い → 〔判決〕強盗致傷罪は不成立


強盗殺人未遂と傷害罪とでは、課される刑罰の重さが大きくことなります。
法定刑を比べると以下のようになります。

【法定刑】
強盗殺人未遂罪:死刑 又は 無期懲役 +未遂による刑の減免
強盗致傷罪  :無期懲役 又は 6年以上の懲役刑
傷害罪    :15年以下の懲役 又は 50万円以下の罰金

この裁判ではたくさんの争点がありました。
理論点な問題や事実認定上の複雑な問題もありました。

けっして楽な弁護活動ではなく、最後の最後まで難しい局面の連続でした。

しかし、一般国民から選ばれた裁判員と裁判官は、私たち弁護人の意見に耳を傾け、概ね私たちの意見に沿った判断を行ってくれました。

裁判では、被害者の証言が信用できるかどうかが争点の一つとなりました。

裁判所は被害者に「うその証言をする動機があることも否定できない」とし、「被害者証言の信用性には疑問の余地があり…証言に信用性を認めることも困難である」と認定しました。

裁判所が被害者の証言を正面から否定するのは画期的なことであるといえます。

その他の点についても、私たち弁護側の主張が概ね認められた結果、強盗致傷罪は成立しないと判断されました。

 

また、起訴前の捜査段階の弁護活動も重要であったと感じています。
この事件では、強盗殺人未遂罪という極めて重い容疑で逮捕されましたが、強盗致傷罪の疑いで起訴されました。

今回は、当初は強盗殺人未遂の疑いかけられて逮捕された方の疑いを晴らすことができました。

北野グランデ法律事務所はこのように刑事弁護活動に積極的に取り組んでいます。

なお、判決文は今後、各種の判例データベースに収録されると見込まれますので、内容に興味がある方は参照ください。

 

<追記>

判決文がD1-Law.com 第一法規法情報総合データベースに掲載されました。

判決文がLEX/DBインターネット TKC法律情報データベースに掲載されました。

この判決に関する記事が『季刊刑事弁護115号』に掲載されました。